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2003年5月26日

株式会社矢野経済研究所
代表取締役社長  矢野 暁

■ サービサー市場の現状と展望
株式会社矢野経済研究所では、国内のサービサー市場を調査し、市場規模・動向、主要サービサーの取組み等をまとめた資料を発刊した。

◆調査要綱
調査対象:法務省から営業許可を取得した国内サービサー71社(2002年12月時点)
調査手法:弊社専門研究員による直接面接取材を中心にアンケート調査、文献調査を併用
調査期間:2002年10月〜12月
弊社では、サービサー各社を下記定義に基づいて分類した。
サービサーの系統
定 義
銀行系サービサー 債権者である銀行を親会社とするサービサー。
ノンバンク系サービサー 債権者であるノンバンク(信販会社、消費者金融会社、リース会社、流通系カード会社等)を親会社とするサービサー。
投資銀行・投資ファンド系サービサー 不良債権への投資を行っている投資銀行・投資ファンドを親会社とするサービサー。
政府系・不動産系・独立系サービサー 上記サービサー以外のサービサー。

◆調査結果サマリー
国内サービサーの市場規模(営業収益ベース)は、2001年度で約480億円(弊社推定、株式会社整理回収機構を除く)。2002年度は、約660億円(同)まで拡大する見込み。

☆サービサー市場は、1999年2月のサービサー法施行後、主として金融機関の不良債権の大量処理を背景に拡大してきた。同市場は、不良債権の大量処理が続く2005年度程度までは順調に拡大していくと見られるが、その後は不良債権処理需要の減少により、多くのサービサーは大きな戦略転換を迫られるだろう。同市場の長期的な成長は、サービサー法の改正による取扱債権範囲の拡大、証券化債権と金融機関等保有債権の債権管理回収のアウトソーシングの活性化がポイントとなる。

☆2002年には11社が新たに参入し、2002年12月時点で71社が参入している。企業再生を専門に手掛けるサービサーが参入するなど、多様なサービサーが登場している。

☆サービサー業界としての主な課題は、大量の不良債権処理後の事業展開、法規制による業務制限の緩和、公的サービサーと民間サービサーの明確な役割の分担、会計基準の統一化、サービサー業界に対する認知度・理解度の向上等である。

◆調査結果の解説
(1)市場拡大の背景
1999年2月1日、弁護士法の特例として、「債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)」が施行されたことから、それまで弁護士に限られていた債権回収業が、法務大臣の許可を取得することにより、民間会社でも取扱えるようになった。実際には、1999年4月からサービサーの参入が始まっており、創設されてから約4年と若い業界である。

サービサーは主として、金融機関等が抱える不良債権の処理に携わっており、不良債権処理の加速に伴いサービサー市場も順調に拡大してきている。
(2)市場規模(営業ベース)の推移
サービサーの2001年度の市場規模(営業収益ベース)は、全系統のサービサーが好調だったため、前年度比61.8%増の約480億円になったと推定される。2002年度は、投資銀行・投資ファンド系以外の系統のサービサーが高成長を維持し、2001年度比で37.9%増の約660億円になると見込まれる。

2001年度の市場規模の系統別内訳は、銀行系サービサーが30.9%、ノンバンク系サービサーが27.4%、政府系・不動産系・独立系サービサーが25.0%、投資銀行・投資ファンド系が16.7%となっている。
(3)サービサー系統別の動向
○銀行系サービサー
親銀行及びグループ会社から不良債権の管理回収受託により、短期・中期的には好調だが、長期的な戦略の構築が急務。
・あおぞら債権回収の除く大手銀行系のサービサーは、短期・中期的には親銀行及びグループ企業からの不良債権の管理回収受託で業績は好調を維持すると見られる。

・長期的には、不良債権の減少によって現状のビジネスモデルを維持することが困難になると予想される。

・そのため、将来の規模縮小を見込み、現状の規模を維持するため、グループ外の第三者企業からの受託や買取りの比率を高めたり、親銀行グループとの連携による証券化分野での取組みを強化するなど、積極的な領域拡大に取組むサービサーも出てくるだろう。
○ノンバンク系サービサー
蓄積された債権の管理回収ノウハウを強みに、金融機関等の第三者企業との取引が好調。総合的なサービシングを指向している。
・ノンバンク系サービサー全体としては、証券化市場が拡大・発展傾向にあることを背景に、将来の収益源として親会社の集金代行システムを活用したバックアップサービサー業務への取組みを強化するサービサーが多い。

・安定収益源として、一般債権(通信債権や通販債権等)の集金代行業務への新規参入や取組みを強化するサービサーが多く、この分野は、管理組合系サービサーも含めて更に競争が加速すると予想される。

・三洋信販債権回収などの消費者金融系のサービサーは、不良債権の処理に伴い発生する担保処分・償却処分後の無担保・無剰余債権の取扱いで業績を大きく拡大させており、銀行の不良債権処理が続く2004年までは、無担保・無剰余債権の取扱いが中心になると考えられる。

・日本債権回収などの信販会社系のサービサーは、小口無担保債権、住宅ローン債権などの各種ローン債権、事業者向け債権まで幅広く対応しており、リテール債権分野で証券化などへの対応も含めた総合的な取組みを行っている。その中でも、日本債権回収は買取業務中心、エヌ・エス債権回収は受託中心に業務を展開している。

・オリックス債権回収は、事業者向け不動産担保付債権の分野に特化し、同分野で証券化や企業再生ビジネスも含めた総合的なサービシングを図っている。
○投資銀行・投資ファンド系サービサー
親会社からの不良債権の管理回収受託により、短期的には好調だが、今後は投資可能な不良債権の減少とともに、撤退が相次ぐだろう。
○政府系・不動産系・独立系等サービサー
政府系サービサーや不動産再生を手掛けるサービサーが好調。主として企業再生を手掛けるサービサーも新規参入。今後は、営業や回収力などの面で強みを持つサービサーだけが生き残る。
・政府系の整理回収機構と保証協会債権回収は、高い信用力と全国展開の回収ネットワーク網を背景に、公的サービサー分野を基盤に、民間サービサーと競合する分野への事業拡大を進めようとしている。そのため、公的性格の強い債権者は、整理回収機構や保証協会債権回収を選択する傾向が強まると考えられる。

・アトリウム債権回収サービスなどの不動産系サービサーの主目的は担保不動産の仕入れであるため、債権の買取りでは、補完関係にある他のサービサーや投資家との連携が進むと予想される。

・ニッテレ債権回収などの管理組合系のサービサーは、主力とする小口無担保分野で他サービサーの新規参入が相次いでいることから、新たな市場の開拓を迫られている。

・企業再生ビジネスは、一案件を処理するのに手間がかかるために大量の案件を一度に処理できないが、成功すれば大きなリターンが見込める。そのため、企業再生ファンド系の日本リバイバル債権回収や総合商社系のミネルヴァ債権回収だけでなく、独自の再生ノウハウを持つサービサーの新規参入が活発化すると予想される。一方、既存サービサーが収益の多様化を狙い、再生ノウハウのある事業者をのアライアンスによって、企業再生ビジネスへ参入する事例も増加するだろう。

・営業や回収力などの面で強みを持たない独立系のサービサーは、大手や独自のビジネスモデルを持つサービサーに対抗できず、淘汰されていくだろう。
(4)サービサーのビジネスモデルと主要参入企業
ビジネスモデル
概 要
主要参入企業
(1)自己債権の集中処理型 親会社(グループ会社含む)が保有する不良債権の管理回収を受託。主な収益は、回収額に一定の手数料率を乗じた手数料だが、手数料率は低い(一般的に数%程度)。 ○銀行系サービサー(除くあおぞら債権回収)
○保証協会債権回収
(2)自己投資債権の受託処理型 親会社(グループ会社含む)が金融機関等から買取った不良債権の管理回収を受託。主な収益は、回収額に一定の手数料率を乗じた手数料だが、手数料率は低い(一般的に数%程度)。 ○投資銀行・投資ファンド系サービサー
(3)自己債権と第三者債権の受託処理型 親会社(グループ会社含む)及び第三者金融機関から債権の管理回収業務を受託。主な収益は、回収額に一定の手数料率を乗じた手数料だが、手数料率は、自己債権と第三者債権によって大きく異なる。 ○みのり債権回収
○エヌ・エス債権回収
(4)第三者債権の受託処理型 第三者金融機関等から債権の管理回収業務を受託。主な収益は、回収額に一定の手数料率を乗じた手数料だが、手数料率は高い(小口債権の場合は、一般的に30%前後)。 ○ニッテレ債権回収
○ジェーピーエヌ債権回収
○エー・シー・エス債権管理回収
(5)第三者債権の買取処理型 第三者金融機関等から不良債権を買取り、自社リスクで債権を管理回収。主な収益は、回収額から買取額を引いた回収益。 ○三洋信販債権回収
○オリックス債権回収
○ニッシン債権回収
○系統債権管理回収機構
(6)第三者債権の受託・買取処理型 第三者金融機関等から不良債権を買取り、または債権の管理回収業務を受託。主な収益は、買取りが回収額から買取額を引いた回収益、受託が回収額に一定の手数料率を乗じた手数料。 ○日本債権回収
○整理回収機構
○沖縄債権回収サービス
○栄光債権回収
○パル債権回収
(7)第三者債権の担保不動産再生型 主に不動産担保付不良債権を買取り、自社で担保不動産を加工・再生して販売。主な収益は、不動産販売による販売益。 ○アトリウム債権回収サービス
○九州債権回収
○ワークアウト債権回収
(8)第三者債権の企業再生型 再生見込みのある企業の債権を金融機関等から買取って再生を支援。主な収益は、キャピタルゲイン、債権回収益、コンサルティングフィー等。 ○日本リバイバル債権回収
○ミネルヴァ債権回収
(9)その他 デューデリジェンスサービスを提供。主な収益はデューデリジェンスに伴う手数料。 ○山田債権回収管理総合事務所
(注)主要サービサーの主業務による分類であり、他業務を営んでいる場合もある。

※「サービサー市場の現状と展望」は、2003年2月18日の矢野経済研究所のプレスリリースより許可を得て転載いたしました。

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